Kenji Ozawa 小沢健二 オペラシティ 第5夜 文章

 コンサートの最後にやった新曲「神秘的」に

土星の環のように踊る子らが
父と母を悩ます 笑わす
善き息吹をつれてくる

という歌詞がある。第五夜でヴィオラを弾いてくださった大川幸子さんは当夜妊娠五ヶ月で、舞台の上の小さな鼓動を感じながら演奏するのは、とても素敵だった。

 チェロの遠藤真理さんも最近出産されて、ボーズくんのところとうちは六月、予定日は二日違い。そういう展開があると、一年は短い、とは感じない。

 第五夜は腕前の高いミュージシャン/詩人、チャットモンチーの二人の声で始まり、アンコールでは黒白のオペラハウスっぽい格好の二人と、ブギーバックをやった。ブギーバック史上(?)に燦然と輝く演奏だった…、と勝手に思っている。ラップ部分は「ノックノック、フーイズィ? 俺チャットモンチー」とかですよ。

 僕のオクターブ上を平気で歌うえっちゃんの声はヴァイオリンのように澄んでいて、あっこちゃんのラップはチェロのように優雅だった。編成は二人のタンバリン、真城さんのボリビア産のベースドラム、ムーグ、クラッシック・ギター、鉄琴二台、ヴァイオリン、ヴィオラ。ドラムマシーンはその原型であるメトロノームに置き換えた。

 この日の僕は熱があったり色々逆境だったけれど、一体感が出てきたバンドの音の群れに混じると、恐れずに飛べた。

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