ハナレグミ、永積タカシくんの声で始まった第四夜。アンコールではいちょう並木のセレナーデを、交互に歌った。
その一ヶ月後、全公演を終えて直行したメキシコシティで、メキシコ旅行中だったタカシくんと過ごすことができた。散歩に行ったり、賑わうメスカル・バーで僕もつられて飲んでみたり、街や人や音楽の話を楽しくした。
それ以来しばらく話してなかった彼の声を久しぶりに聞いたのは、近く出る彼の新作「だれそかれそ」だった。それは彼にしかできない音楽で、そして日本語の音楽が好きな誰もが、嬉しくも誇らしくもなるようなアルバムで、日本語非対応の友人たちが出入りする週末のNYCの家の居間で、爆音で聴いた。
少し悲しく、そして間違いなくお酒の匂いがする、東京の街の音楽。
四夜は、特に「あらし」が良かった。真城さんの雷マシーン、キタローさんのムーグ、僕のクラッシック・ギター、それにメトロノームという編成で、音が薄いとは感じなかったと思う。
スクリーンに、ゆっくりと波が砂を黒く染めては引く、長い映像。日本もメキシコ も、太平洋、いや、そんな名前などない、大きな海がつくった。今も、本当は、その一部でしかない。