3月10日

 フジロックの現在の予定です(野外フェスなので、直前まで公式・非公式の情報を参照してください)。

 1日2ステージ、2つの別セットをやります。

 1セット目は昨年の「魔法的」ツアーのバンドのギアを一段上げて、爆裂炎上するやつです。笑 『流動体について』を一緒に歌って、何かを確認できたら良いです。歌わない方も、心の中では絶叫お願いします。Mステで言ったとおり、『ブギーバック』は当然やります。他は、ヒット曲と未来のヒット曲を混ぜます(あはは、不遜)。

 1セット目の後、シャワーを浴びて着替えてスタッフ全員移動して、真夜中くらいから昨年の美術館ツアー『言葉は都市を変えてゆく』でやったソロ演奏セットの、真夏の夜版をやります。『神秘的』にあるような、変な音の積みのクラッシック・ギターのアルペジオのやつです。今『神秘的』をやるのは楽しみ。そして深夜の森の中で、『天使たちのシーン』をやりたいです。

 両ステージとも、人数的な入場規制がかかるかもしれないので、お早めに。ちらっと聞いた話だと、真夜中のセットの会場はバスツアーで来ると優先されるキャンプサイトに近いとか近くないとか。でも会場が変わったらどうなる? とか、すべては冒険のようです。
 そういう冒険の中で、幻のような、でも確かな時間を過ごしたいです。日高さんたちとフジロッカーたちが築いてきたものに、恥じない公演にするつもりです(あ、フリッパーズ再結成とかそういう暇は全くありませんので、よろしくお願いします)。

 フジロックは以前から声をかけていただいていたのですが、制作チームにお会いして、彼らの人間らしさに撃たれています。なので割と直前になってなのですが、今年混ぜていただくことにしました。色々お願いを聞いていただいて、フジのチームにはとても感謝しています。
 そういうことが、すべてです。
 …というような自然な流れで、自然にタモリさんの前で発表したら、Mステ終了後スタッフがスマホを掲げて「大変なことになってます」と。
 世の中って、不思議です。

 では、夏の夜にお会いします!

 小沢健二

追記 3月12日発売のお洒落雑誌『GINZA』の、音楽特集の序文を書きました。『流動体について』のジャケットをデザインした過程について(あのサイズや切り込みは何なのか? 読むとジャケットの見え方が変わります)ですが、本当はもう少し、大きな話かも。
 素敵な顔ぶれの特集です。




3月2日(コピーできるようにしました)

追記 本当に「一旦」ちょっと日本を離れるだけで、すぐ戻ります。離れてねーじゃんと思われるくらい、すぐ。しかし間に合うのかチェックイン。

 朝のTV「スッキリ」、楽しかったです。時差ぼけのせいで、体内時計朝6時出演のMステに比べて、スッキリは夜7時。楽勝です。

 前回ここでデイリー4位のことを書いた後、ウィークリーでは2位。シングルではキャリア・ハイ(経歴上最高位)というやつで、何より「これ、売れますから!」と請け負って宣伝したり、販売スペースを作ったりした、レコード会社からお店までの流通上の面々にとって良かったです、と言えるくらいには大人の視点です。笑 彼らにありがとうございましたと、売れたことについてではなく、売れるまでの(静かな)準備の時間について、申し上げます。

 世の中はテクノロジーと相まった価値観の変化やら何やらごっちゃになりながら、いつも変わっていって、それ以前の「当たり前」って、今もいつも問われます。発売の手順だって、宇宙の法則でも何でもなくて、変わっていきます。今僕らは「突然リリースした」と言われますが、数年後に考えたら当たり前のリリースの仕方かもしれません。逆に「1週間前には告知すること」と規定ができるかもしれません。

 そんな風に動いていく世で、日本の社会の渦の真ん中らへんに今回身を置いてみて(テレビ局に行くとか、普段しないので)、『流動体について』という難しい内容の曲への反応を感じてみて、うーん、やっぱり僕は今回『流動体/神秘的』を良いと思ったような人たちを、恐ろしい言葉ですが、一回裏切ってしまったのだと思います。感傷的に言っているつもりはなくて、割と冷静に言って。それは取り返しのつかないことなのですが、裏切ったことで裏切らなかったこともあるというのを、言い訳みたいですが、わかってください。

 とか言ってる間に荷造りをして、一旦日本を離れます。今回は一人で来ているので、とりあえず6ヶ月の下の子がコケて鼻血出してるとか、そういう状況へ。でも僕が日本を離れても、『流動体について』はラジオから流れているし、ツアーに来るほどの熱心なファンでなくても、それを耳にして良いなと思う人は、やっぱり僕の聴き手で、そういう人の日常と僕の日常は一瞬交じるのです。無限の海は広く深く、でもそれほどの怖さはない、と。

 また落ち着いたら書きます。とりあえずもらったCDを整理してます。Mステの楽屋でもらったものが結構楽しみ。笑

 小沢健二



2月25日

 MステとNews Zero、どうでしたか? 相変わらず時差ぼけと鼻ジュルジュルでボロボロですが、温かく迎えて下さった番組スタッフの皆さんのお陰で、楽しい時間を過ごしました。

 最近「ハーフ」について考えることが多く(息子たちがそれなので)、例えば昨日も、Exile the Second のネスミスさんに「ハーフじゃないですよね、ダブルですよね」とか冗談を言っていたのですが(「半分じゃ駄目ですよね」と彼)、ハーフって不思議な言葉です。あ、もちろん「ハーフという言葉は差別」とか「ハーフというのは和製英語で云々」とか言うつもりは全くありません。その類の言葉狩りは、起こらなくて良いと思います。

 でも、これはNews Zeroでお話しして、放送されたかどうか、まだ知らないのですが(すみません、Mステの後爆睡していました。後日見ます)、「人種」なんて無いのです。モンゴロイドとかコーカソイドとか言いますが、じゃあモンゴロイドとコーカソイドを混ぜたら、ナニロイド? という具合に、「人種(【英】Race 歴史的、社会的に、「白人」という区分を大前提とするもの)」なんて全くの虚構。肌の黒い人が「ネグロイド」なら、背の高い人は「セタカイゾ」? 意味わかりません。体の特徴で人を区分するなんて。

 とりあえず「ハーフじゃなくてダブルだよね」ジョークは続けますが、あくまでも冗談で、要するに人はみんな、エブリ「ワン」で、違いはないんじゃないでしょうか。誰も半分でも、2倍でもなくて。

 あす日曜日のNHK-FM「きらクラ」、2時間ほとんど出ています。おもしろいと思う方は多いと思います。どうぞお楽しみに!



2月23日

 ユニヴァーサルの熱い(ありがとうございます)担当者から「オリコン・デイリー4位」と聞いたのですが、それって95年の「痛快ウキウキ通り」と同じです。ということは時代と関係なく、僕のようなトーンのものが好きな人というのは、量としては1位じゃなくて、4位くらいのところにいて、でもその人たちの「質」が、曲をスタンダードにしているのだと思います。それに見合う僕でありたいと思うのですが……、と弱気になってはいけない! それに見合う僕であらねば、いや、あるのだ! と奮い立ってミュージックステーションに出てみます。

 せっかくなのでMステ、一つ思いつきました。演奏中、とっても変なとこでかも知れませんが「歌おう!」と言いますので、そしたら列島にショッカーのように潜伏する「量としては4位」な皆さん、一緒に歌ってください。緊張して「小沢! 違うよっ! そこじゃないよ! もー、何やってんだよっ!」というところで言ってしまったら、ごめんなさい。うーん、コンサートなら自信あるのですが、テレビって。固唾を飲んで、おつきあいください。

 そうか、かたずって、固い唾って書くのか。昔の人ってすごい。あ、この言葉を作った人も、たぶん「4位」な感じの人だったはず。最初は周りに「又兵衞! 何だよ、カタズって。意味分かんねーよ」とか言われていたにも関わらず、最終的には「固唾」はスタンダードな言葉に。

 それはきっと歴史上、他にも「又兵衛」がたくさんいたから。俺たちは、結構いるから。

 朝日新聞全面広告、いかがでしたか? 舞台裏を話すと、ユニヴァーサルの宣伝担当から「入荷日の朝日の全面広告を手に入れたんですが、何かやってもらえません?」という無茶振りがあって、ええー、何だろう、と考えていたら、あれが、デザインとして浮かびました。朝日のみならず、手触りと匂いが良く、情報効率が高い、新聞という発明に捧げます。この先の「MV公開中」の広告の横に、PDFを置いておきます。

 ちなみに時差ぼけと鼻ジュルジュルと戦ってます。鼻声だったら、すみません、ってもともと鼻声ではないですか、『LIFE』とか。

 要するにあまり、前のシングルから変わっていないということでは。

 また。


2月20日

「流動体について c/w 神秘的」は、 2月21日には販売がはじまります。

朝日新聞21日(火)朝刊に、 全面広告「言葉は都市を変えてゆく」が出ます。 くっだらないですが、「愉しい広告」です。 hihumiyo.net にもアップします。

ユニヴァーサルの特設サイトで、 既発のMVが限定見放題になっています。 21日の朝に開きます。

24日金曜日、ミュージックステーションに出ます。2曲やります。

そのあとも、テレビに何本か、お邪魔します。

「流動体について」は、… 録音していた時に考えていたのは、「みんな」のことです。 ツアーで、客席から、ステージから、もらった曲だと思っています。 だからしっかり録音せねば、と。 力入りまくって、ギターソロとか弾いてます。2回も。笑

(この便箋は、じっさいにユニヴァーサルで使われているものです。)

また書きます。