これは新宿アルタの一室、ある楽屋のドアの写真。   この写真を撮った妻には、この文字は読めない。それはアラビア文字やタイの文字のように、意味のわからない謎の模様に見える。   この模様は、僕らにとっては文字で、それは「ああ、あの人ね、ああいう感じね。知ってる、知ってる」と、ある感触を生む。   この地上の言葉や習慣は、慣れている人にとっては当たり前のもの。でも、違った視点から見ると(妻の場合のように)、その全ては、宇宙に向かって放たれる、謎の記号群のようにも見える。   このドアがある部屋から放たれる謎の記号群は、もうすぐ止まる。その最後の送信を、あと数回、楽しみましょう。   ちなみに昨日は中山競馬場へ。蹄のおとって、やっぱりすてきですね。   三月二十四日 東京